お正月の郷土食

【理事のつぶやきシリーズ】

お正月料理といったら……私の場合、即答で「のっぺ」。

「のっぺ」は、新潟の代表的な郷土料理(家庭料理)ですが、全国各地に点在する「のっぺい汁」とはちょっと違います。新潟の「のっぺ」は汁物というより煮物。各家庭で材料や味は微妙に違いますが、基本的には『ホタテ貝柱、干ししいたけ、たけのこ、里芋、人参、こんにゃく、かまぼこ、ぎんなん、塩サケ』などを小さく切って煮たお醤油味の煮物です。

我が家は、塩サケの代わりに鶏肉を入れ、新潟名産の車麩も加えます。ホタテの干し貝柱と干ししいたけのもどし汁を加えた出汁で、横着せずに手間暇かけて煮るのがポイントです。全ての材料を小さく切りそろえたら、にごりが出ないよう小まめにアクを取りながら柔らかくなるまで煮ます。味付けはしょうゆと酒とみりんがですが、甘党の父のために、我が家では砂糖も少し加えます。柔らかく煮えたら、最後に片栗粉でとろみをつけて出来上がり。

本当なら、お正月には「のっぺ」より「鯉こく」を作って食べたかったであろう佐久市出身の母。父と結婚して65年、「のっぺ」を作り続けてきましたが、2024年暮れは病の床にあり、もはや父のために「のっぺ」を作る事は叶いません。

まもなくやってくるお正月。見よう見まねで覚えた私の「のっぺ」を、父は美味しいといって食べてくれるでしょうか。